Telescore Project

すでに終了してしまいましたが、2016年10月6日から12日まで、渋谷ヒカリエにて、
Telescore project(テレスコア・プロジェクト)という興味深い試みが行われていました。
その際に行われたトークイベントを基に、以下のテキストは作成されました。

トークイベントの記録
2016年10月10日(月)渋谷ヒカリエにて
ファシリテーター: 猪狩 千恵子氏
ゲスト:iyamari(アーティスト)、石井則仁氏(山海塾、DEVIATE.CO)
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Telescope project http://www.iyamari.info
「樹からのアプローチ」
「JPN-Sakura」編

アーティストのiyamari.を中心にした、「環境と時間」をテーマにしたプロジェクト。

このプロジェクトは、「樹からのアプローチ」と言われるように、
iyamariが制作する「樹拓(じゅたく)」から、すべてが始まっている。

樹拓とは、他の拓本と同様、樹木の切り株から年輪を転写したものである(*)。
この転写された年輪の明暗をもとに楽譜(score)がつくられ、さらにその楽譜を基にして、
音楽が作られる。その際、音の抜き差しなど、一切の恣意的操作は行われない。


(上:樹拓から作成された楽譜Score)

だからその音楽は、樹木の声である。
その声は、長い年月を経て、はるか遠い過去(tele)から現在に語りかけてくる。

この声に、樹拓のもとになった樹と同じ環境を共有する人(パフォーマー)が応じるとき、
telescore projectの全体が立ち上がる。

樹(SAKURA)と共応するのは、「舞踏」の舞い手である石井則仁氏(山海塾、Deviate. Co)である。
(石井氏については、http://deviate-co.com/index.html

周知のように舞踏とは、1960年代以来、農耕民である日本人にふさわしい身体性を意識し、
病や死さえ射程に入れながら、独自の発展を遂げてきた。そこでは、人は世界の中心として四囲を組織化するのではなく、
ただの皮の袋であり、そのなかに花や鳥やヒト自身を受け容れることで初めて何かを表現することができると考えられている。

樹と舞踏。環境を共有する両者の見事な競演が繰り広げられた。

今後このプロジェクトは、イギリス連邦に渡る。
スコットランドウェールズを含む彼の地で、どのような樹と出会い、また、
どのようなパフォーマーと出会うのだろうか。楽しみである。

(上:会場風景の一部)

(*本プロジェクトに限らず、アーティスト iyamariさんの樹拓作品に使用している木は、
全て既に切り倒された 木材の端材、もしくは立木を使用しています。
また、樹拓用の墨汁は膠系に限り、立木への影響を抑えています。)

展覧会データ:
【Telescore project】展
会期:2016年10月6日(木)-12日(月)
会場:渋谷ヒカリエ8F Creative Lounge MOV aiiima3
運営スタッフ:
主宰/ iyamari
テクニカルエンジニア/ Sheep
撮影/ Karin

参考URL
http://www.iyamari.info
http://deviate-co.com/pg108.html
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